在庫ロスを防ぐ!アパレル業界・卸向けの効率的な在庫管理システム
アパレル業界における在庫管理は、流行性や季節性、サイズ展開、セール品と通常品が存在するなどの商品の特性上、在庫の種類も数も多く、在庫管理は非常に煩雑になる傾向があります。
こちらの記事では、アパレルの卸や小売りを行っている方に向けて、在庫管理の最適な方法をご紹介します。
人手が少ない中で、さらに在庫管理の難しいアパレル業界がかかえる課題解決の一番の方法は在庫管理をシステム化することで解消ができます。
システム化と聞くと、高額なシステムを導入しないといけないのでは?と思われる方も多いでしょうが、実はそうではありません。アパレル業界の課題をどのようにシステムが解決してくれるのか、おすすめのシステムも併せて紹介いたします。
目次
アパレル業界の在庫管理の特徴
アパレル業界で扱う商品には、流行性や季節性がある、さまざまなサイズがある、セール品と通常品があるといった特徴があります。
それに伴い在庫数も増えるため、在庫管理に手間がかかります。
しかし、商品数が多いからこそ在庫管理をしっかりと行うことで、在庫のロスを減らすことや、適正な価格で売り切ることにつながります。
アパレル業界の在庫管理は難易度が高いですが、利益を確保するために重要度が高い業務であるといえるでしょう。
アパレル業界が抱える在庫管理の課題
アパレル業界に限らず、在庫管理の目的とは「適正在庫を保つこと」です。
特にアパレル業界では、冒頭でもご紹介した通り、商品の種類・数が多いため、適切な在庫管理が行えるかどうかで、販売機会のロスや在庫過多といった課題を避けられるかどうかが決まります。
適正在庫を保ち、過不足のない在庫数を保つには在庫管理が必要なのです。
また、在庫管理を行うことで、在庫管理にかかるコストを減らすことができたり、キャッシュフローが良くなったりといったメリットも享受できるようになります。
在庫に対する責任を負う担当者を明確にできるという副産物も得られます。
以上のような点から、在庫管理は重要なのです。
在庫管理の主な課題 | 解決策 |
---|---|
需要予測が困難 | 過去のデータ分析やトレンド分析を活用し、予測精度を向上させる |
商品バリエーションの多さ | SKUごとの在庫管理システムを導入し、サイズ・カラーごとの在庫数を最適化 |
返品制度の活用 | 返品管理をシステム化し、在庫数を自動更新する仕組みを導入 |
オムニチャネル対応 | 複数チャネルの在庫を一元管理できるシステムでリアルタイム更新を実現 |
需要予測が困難
アパレルの売上は気候に大きく左右されます。
しかし、急な気温変化や気候変動などは予測ができないため、需要の予測自体が困難となります。
さらに、全国でチェーン展開している企業の場合は地域ごとのばらつきも考慮する必要があるため、予測がより難しいといえるでしょう。
また、自社で商品を製造し販売しているSPA企業でない限り、およそ1年前から商品を発注しなければなりません。
しかし、洋服は流行の移り変わりが激しいため、1年後も同じニーズが継続するとも言い切れず、これもアパレルの需要予測を困難にさせる要因の1つです。
商品の種類が多い
アパレルは多様な色やサイズを取り扱うため、管理すべき在庫数も多い傾向です。
色やサイズのバリエーションが豊富な商品では、同じ種類でも数十を超える商品が存在することも珍しくありません。
さらに、サイズの違いなどは一目では分かりにくいため検品作業に時間がかかったり、ミスが起きやすくなったりする点もアパレル業界特有の在庫管理の難しさといえます。
返品制度
返品制度の存在により、出荷した商品が再び倉庫に戻ってくる場合が多く、在庫の移動が増えることもアパレル業界の特徴です。
百貨店などの小売店に出荷した商品が売れ残った場合、在庫をメーカーに返却できる契約を結んでいる事業者は少なくありません。
商品が返却されると、再度入荷登録の作業を行ったり倉庫内の保管場所の登録作業を行う必要があるため、業務量の増加とミスを誘発する可能性の増加に繋がります。
在庫の移動が多いと、管理が複雑かつ手間がかかる点も在庫管理の難易度を高める要因となっています。
棚札などのアナログな在庫管理とミスの発生
アパレル業界には、今でも棚札や手書きの帳簿を使って在庫管理を行う企業が少なくありません。
こうしたアナログな方法は、情報の更新が遅れがちで、ミスが発生する可能性もあります。
特に混雑する販売時やセール時には、実際の在庫と記録の在庫が一致しないことが頻発し、それが顧客クレームなどに繋がることもあります。
オムニチャネルの管理
近年のアパレル業界では、実店舗での販売だけではなくECサイトも活用した複数のチャネルでの販売が主流です。
しかし、複数の販売チャネルがあるとそれぞれのチャネルからの受注情報を在庫に紐づける必要があり、その分在庫管理は複雑になります。
オムニチャネルの在庫管理ができなければ、欠品商品がECサイト上に購入可能な状態で載ってしまう場合や在庫取り寄せの確認に時間がかかってしまう場合もあるでしょう。
受注データと在庫のデータをタイムリーに連動させなければならないため、在庫管理にも高いレベルが求められる傾向にあります。
在庫管理を改善する方法
在庫管理を改善する方法は、正確な情報をタイムリーに反映させ、いつでも精度の高い在庫情報を見られるようにすることです。
ここでは「エクセル管理」、「POS管理」、「在庫管理システム」の3つの方法をご紹介します。
エクセル・スプレッドシート管理
在庫管理をエクセルやスプレッドシートで行えば、費用をかけず店舗別の在庫数や種類別の全体の在庫数などの情報をいつでも見られる状態にできます。
さらに、エクセルをクラウド上(スプレッドシートなど)で入力できるようにすれば、複数人で同時に編集できるため、在庫情報の素早い更新も行えます。
しかし、確認した在庫情報をエクセルに入力する際にミスが発生したり、数式を組んで作成したものが、誰かの操作ミスで壊れてしまい正確な数値がとれなくなってしまうなどエクセル管理にはデメリットがあるので取り扱いには注意が必要になります。
POS管理
店舗数が少ない場合や小規模の事業者はPOSレジと連動した在庫管理もおすすめです。
商品を販売した際のPOSデータと連動して在庫情報の更新ができる仕組みを構築しておけば、行う作業は入荷情報の登録のみとなり、業務効率化に繋がります。
ただし、返品制度などがあり在庫の移動が多い場合や、ECサイトなど複数のチャネルで販売する場合は手動での対応が増えるため、POS管理以外を検討する必要があるでしょう。
在庫管理ができるシステムを導入
在庫管理が出来るシステムを導入 | ||
---|---|---|
システム導入前 | システム導入後 | |
在庫の管理精度 | 在庫数が正確でないことが多い | 在庫数を常に正確に把握 |
作業負担 | 手動での在庫確認が必要 | 管理を大幅に自動化できる |
人為的エラー発生率 | エラーが発生しやすい | システムにより削減 |
リアルタイム在庫把握 | リアルタイム把握が難しい | POSレジや販売管理システムとの連動で把握可能 |
販売機会の最大化 | 在庫不足で機会損失が発生 | 適正在庫で販売機会を最大化 |
オムニチャネル対応 | 各チャネルで在庫管理が個別 | 複数チャネルでの在庫を一元管理 |
在庫管理に特化したシステムを導入することにより、複雑な在庫管理業務を効率化でき、ミスの防止も期待できます。
在庫管理システムは受発注データとの自動連携や、移動のトラッキングなどが行えるため、常に在庫情報を最新の状態に保ち、場所の把握も容易です。
さらに、在庫をアナログで管理していると、保管場所や保管方法などが属人化してしまう懸念もありますが、システムを活用することで業務の平準化も行えるため、退職や異動などで人員の入れ替わりが起きても安心です。
在庫管理システムの特徴
在庫管理システムには主に下記のような特徴があります。
- 全体の在庫数の把握はもちろん、店舗や倉庫別の在庫数や移動中の在庫数など様々なカテゴリ別に情報の把握ができる
- ハンディターミナルと連携させることで、入力作業や棚卸業務の効率化に繋がる
- 倉庫管理システムと連動させることで、倉庫内の商品の場所もすぐに知ることができる
このように在庫管理をする上で手間がかかる作業を効率化する機能が備わっています。
在庫管理システムのメリット
在庫管理システムを活用することで、以下のメリットがあります。
在庫を見える化 リアルタイムで管理
在庫管理システムと受発注データを紐づけることで、受注と同時に在庫情報の更新が自動的に行えます。
さらに、店舗別やチャネル別の売上データを把握できるため、売上予測も立てやすく、店舗間の在庫移動や価格変更の参考にもなります。
人為的ミスが減らせる
在庫管理システムは、ハンディターミナルやスマートフォンなどでバーコードをスキャンするだけでシステムに反映させられるため、入力作業によるミスを防ぐことができます。
また、欠品している商品をECサイト上に掲載してしまうケースや、取り置きしている在庫を誤って出荷してしまうケースなどの人為的なミスも防げます。
商品情報の登録や在庫の場所の把握なども容易になるため、ピッキングや検品作業の効率化・平準化に繋がる点も嬉しいポイントです。
在庫リスクの軽減
在庫管理システムは、需要の予測と在庫調整の最適化にも役立ちます。
過去の売上データやトレンドを分析し、将来の需要を予測するのに役立ちます。
これにより、過剰在庫や不足在庫のリスクを最小限に抑えることができるので、需要の変動にも柔軟に対応し在庫の調整を効果的に行えます。
導入事例
実際に在庫管理システムを導入した事例をご紹介いたします。
ぜひ、ご自身の企業でも応用ができないかという視点でご覧ください。
導入事例1:エクセルからの脱却
店舗の在庫を全て現場が管理していた企業では、在庫管理システムを導入したことにより接客に割ける時間が増えて売上の向上に繋がりました。
この企業は店舗の在庫をExcelで管理し、毎日本部にファイルを送るというフローだったため集計と入力作業に手間がかかり、顧客に十分な接客ができないこともありました。
しかし、在庫管理システムによりPOS管理が行えるようになったことで、在庫管理業務の手間が減りコア業務に割く時間の創出に繋がりました。
導入事例2:チェーン店
複数店舗をチェーン展開している企業では、欠品商品を他店に問い合わせるのに時間がかかることが課題でした。
この企業では店舗ごとに在庫管理を行っていたため全店舗の在庫をまとめて調べることができず、取り寄せ対応がスムーズではありませんでしたが、在庫管理システムの導入によりすぐに在庫の取り寄せを行えるようになり、顧客満足度の向上に繋がりました。
導入事例3:SKU管理の実現
アパレルブランドを展開する企業では、SKU※管理ができていないことや、EC発送の際にスタッフが倉庫へ行って手作業で商品を探しており非効率的である点が課題でした。ECの注文数の増加に伴い、作業が煩雑になってしまったため在庫管理システムを導入を決めました。
在庫管理システムを導入後は、SKU管理ができるようになり、商品ごとのサイズや色などまで詳細に把握できるようになりました。さらに、EC用と実店舗用の在庫を統合することで、余剰在庫を減らすなど最適化まで実現しました。
※Stock keeping Unitの略で”最小の管理単位”という意味。アパレル業界においては同一商品であっても、色違いやサイズ違いのアイテムを指します。
『キャムマックス』はアパレルの在庫管理に適したERPシステム
キャムマックスの在庫管理機能は在庫数の把握だけではなく、販売管理との連携や在庫のトラッキングまで行えることが特徴です。
ECサイトからの受注データやPOSレジデータとの連携が可能であるため、在庫情報の登録を自動化できるうえ販売データの分析もできます。
また、在庫移動時にトラッキングが可能であるため、各店舗の在庫数の適正化や、取り寄せ対応時の顧客対応の質の上昇に繋がるでしょう。
その他のアパレル向け在庫管理システム・在庫管理アプリ
ユビレジ在庫管理
『ユビレジ 在庫管理』は、iPadやiPhoneで利用できるクラウドベースの在庫管理および発注管理アプリです。
小売業やアパレル業界など、多くの商品を取り扱う業界におすすめです。この在庫管理システムを使うことで、従来手間がかかっていた在庫管理業務を効率的に行い、本業に集中できます。
特にバーコードの読み取りやラベルの作成、発注書の生成、原価管理、在庫切れ時のアラート通知など、幅広い便利な機能が備わっています。
これによって、商品の在庫状況や発注業務をスムーズに進めることが可能で、業務の効率化と正確性の向上が実現できます。
NEXPO(ネクスポ)
『NEXPO(ネクスポ)』は、小売業向けのiPad POSレジシステムです。月額2,940円で基本的なレジ機能に加えて、在庫管理、顧客管理、売上分析、複数店舗管理、SKU管理など、多彩な機能が利用できます。
実際の店舗での使用を基に開発されているため、直感的で簡単な操作が特徴であり、特にアパレルや雑貨業界などで在庫管理が重要な店舗において支持を集めています。
さらに、企業のニーズに合わせてカスタマイズも可能で、現場の作業や本部との連携がよりスムーズに行えます。
アラジンオフィス for fashion
『アラジンオフィス for fashion』は、アパレルメーカーや卸業者向けの在庫・販売・店舗管理システムです。
このシステムは、SKU商品の管理や展示会受注のトラッキング、出荷指示機能、ハンディターミナルとの連携、EOS・EDIの連携機能、流通BMSに対応するなど、幅広い機能を備えています。アパレル商品のカラーやサイズごとの詳細な管理も可能です。
商品や店舗、倉庫のマスタ管理から受注、発注、仕入、出荷指示、売上、請求、入金、支払い、在庫、店舗管理、さらには分析機能まで、アパレル業界のビジネスフローを網羅的にサポートするシステムとして、多くの企業で導入されています。
アパレル管理自動くん
『アパレル管理自動くん』は、アパレル業界を対象とした販売・在庫管理のクラウドシステムです。
このシステムは、アパレルの小売や卸売業務を包括的にサポートし、商品の動きをリアルタイムで把握できる強力なツールです。
複数の店舗やECサイトのデータも、クラウド上で一元的に集計・分析できます。さらに、ユーザーのニーズに合わせて製品をカスタマイズすることができ、業務の特性や要件に合わせた運用が可能です。
特にSKU管理やアパレル業界の特有の要素に焦点を当てたシステム設計がなされており、多くの専門機能が搭載されています。
Creative Vision.NET
『Creative Vision.NET』は、アパレル・ファッション業界に特化した販売管理システムです。
売上在庫情報や顧客情報、ポイント情報などのデータを、オールインワンのクラウドサービスで統一的に管理できます。
実店舗とWeb店舗の売上や在庫情報を、POSシステムやECシステムと連携させて統合管理することができます。
さらに、顧客管理システムと組み合わせることで、顧客情報やポイント情報も同時に管理できます。
また、ブランドやアイテムのデータを集計・分析することが容易で、新しい販売戦略の立案や迅速な経営判断にも助けとなります。
FAQ(よくある質問)
Q1. アパレル業界での在庫管理の課題は何ですか?
A:アパレル業界の在庫管理には、商品のサイズやカラーといったバリエーションの多さ、季節性や流行性に伴う変動、返品や在庫移動の頻度の高さなどが課題であり、在庫管理が複雑化して適切な在庫数の維持が難しい点が挙げられます。
Q2. 在庫管理システムを導入することでどんなメリットがありますか?
A:リアルタイムで在庫状況を把握できるため、欠品や過剰在庫のリスクが軽減します。また管理作業の効率化によって人為的なミスが減り、業務負担が大幅に軽減されます。
Q3. 返品や在庫移動が多い場合、在庫管理システムは役立ちますか?
A:はい、在庫管理システムは返品や在庫移動が多い業務にも適しています。システムを使うことで商品の移動履歴が追跡できたり、再入荷時の在庫数も自動的に更新されるため常に正確な在庫数を把握することが可能です。
Q4. 小規模店舗や個人事業者でも在庫管理システムは必要ですか?
A:はい、小規模店舗でも在庫数が増えるにつれて管理が難しくなります。特に、複数のサイズやカラーを扱うアパレル業界では在庫管理システムが有用です。Excelやスプレッドシートでも在庫管理は可能ですが、規模が大きくなるほどミスが増えるためシステム導入が望ましいです。
Q5. POSシステムを活用した在庫管理のメリットは何ですか?
A:POSシステムと連動することで、販売データと紐付けされ在庫数が自動的に更新されます。特に複数店舗運営やオムニチャネル展開している店舗においては、複数の販売チャネルの在庫を一元管理することができます。
Q6. 在庫管理システムの導入にコストはかかりますか?
A:はい、初期費用や月額費用がかかるものが一般的です。ですが、それと同時に在庫数の適正化や作業コストを大幅に軽減できます。
『キャムマックス』の場合では、初期費用70,000円+月額費用70,000円から導入可能です。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。