ECサイト運営におすすめの在庫管理システム | 選び方とメリットを徹底解説
ECサイトが軌道に乗ったら、在庫管理システムの導入が効果的です。
なぜなら、ECサイトを運営して規模が大きくなってくると大変なのが在庫管理だからです。
特に、複数のECサイトにも出品し、実店舗も存在するという場合には、手作業でデータを連携させることは大変難しくなります。
本コラムでは、ECサイトにおける在庫管理の重要性や、在庫管理におすすめのシステムについて、ご紹介いたします。
目次
在庫管理がECサイト運営において重要な理由
商品を販売する企業にとって適切に在庫を管理をすることはとても重要です。
中でも近年はECサイトの活用が進んでいるため、ここではECサイトでの在庫管理がなぜ重要なのかということに絞って詳しく見ていきます。
在庫数の適正化
昔の小さな商店では店内やバックヤードに在庫を保管し、手作業で数えるという方法がとられることが多くありましたが、これは人為的なミスが出やすい方法です。
ECサイトを運営する企業が増加する中、在庫の種類や数も膨大になっています。そうなると人の手で数えるには無理が生じてきます。
また、在庫を管理している倉庫が物理的に離れている場合は、しっかりと在庫数を把握して、過不足による損失を如何に減らすかが課題になるでしょう。
数を把握することでせっかく注文が入ったのに品切れということもなくなりますし、仕入のタイミングも明確になります。
商品の品質を保つ
賞味期限や消費期限が設けられている商品の場合は特に、品質維持の期間も把握しておく必要があります。
在庫管理に適した環境も品質維持には不可欠です。温度や湿度管理ができる場所を確保するのも在庫管理の一つと言えるでしょう。
ただし、期間を把握して環境を整えていても、出荷や入荷に時間がかかり過ぎると品質が劣化する可能性が高まるため、スピード感のある物流が重要です。
キャッシュフローの改善
在庫管理がずさんだと、必要数以上に入荷して在庫数を増やし、売り切るために値下げをしたり、結局、売れずに廃棄てしまったりと、余計なコストを生みます。また、在庫を管理するスペースや手間(人件費)も余分にかかってしまいます。
逆に、必要な数量よりも少ない数しか入荷しなければ、せっかくの販売機会をロスしてしまい、得られるはずだった利益を逃すことになります。
このように、在庫管理が適切に行われないことで、キャッシュフローが悪化してしまいます。
裏を返せば、在庫を適正量に保つことで、キャッシュフローの改善につながるということです。
主な在庫管理方法
在庫管理の重要性についてご理解いただけたところで、ECの在庫を管理する主な3つの方法をご紹介いたします。
紙で管理する
まずは、アナログに紙に筆記用具で記録することで管理する方法です。
金銭コストのかからない方法ですが、記入・集計に時間がかかり、ミスも起きやすい方法です。
Excelで管理する
Windows OSを利用する多くの企業でプリインストールされているExcelで管理する方法です。
こちらも費用を抑えて在庫管理することができますが、同時に複数人でファイルを編集しにくかったり、データ量が増えると動作が遅くなったりなどのデメリットがあります。
在庫管理システムで管理する
在庫管理に特化したシステムを導入して利用する方法です。
初期費用・ランニングコストがかかりますが、在庫管理に必要な機能が揃っており、集計なども自動で行われるため、業務効率化には最も寄与してくれます。
効率的な在庫管理を行う「在庫管理システム」とは
これまでの方法 | 在庫管理システム導入後 | |
---|---|---|
受注 | 注文が入ると担当者が手動で処理開始 | 注文が入るとシステムで自動処理 |
在庫確認 | 手動で在庫数を確認し、Excelや紙に記録 | 常にリアルタイムで在庫数を把握 |
発注作業 | 在庫が不足している場合は担当者が手動で発注 | 在庫不足を自動検知しアラート通知、発注書を作成 |
出荷手配 | 担当者が手動で出荷の準備を行う | システムが出荷の準備を自動化 |
在庫管理システムとは在庫管理を一括して行うことができるシステムです。
従来別物だった会計ソフトやECサイトと直接連携させることができるため、入力も一度で済むのが特徴です。
もし、在庫管理システムがなく、手作業で在庫管理を行うとすれば、どんな商品がどれだけ入出荷したのかを棚札に記録していくことになります。さらに、集計のためにエクセルなどに入力して計算するという手間もかかります。
この方法だと、棚札への記入ミスや記入漏れ、エクセルへの入力ミスなども起こりやすく、業務効率が良くありません。
一方、在庫管理システムを導入していれば、在庫状況をデータ化し、リアルタイムで把握できますし、自動で集計してくれるため、大きな業務効率化につながります。
導入するメリット
ECサイトの運営に在庫管理システムを導入するメリットをもう少し詳しく見ていきましょう。
主に、次の3つのメリットがあります。
業務効率化の実現
先ほどもお伝えしたように、システムを利用して在庫管理を行うことで、集計の際にかかる時間を短縮できたり、計算ミスを回避でき、業務効率化を実現できます。
顧客満足度の向上
在庫管理システムによって在庫を管理することで、在庫管理の精度が上がり、適切な在庫数を維持できるようになります。その結果、在庫切れを防ぐことが可能になります。在庫切れは、販売機会のロスによる利益損失を招くだけでなく、顧客を落胆させることにもつながります。
つまり、在庫切れを防ぐことが顧客満足度に繋がります。
属人化を解消できる
紙やエクセルを使った在庫管理の方法の場合、在庫管理システムに比べると、記入・入力方法やフォーマット変更についての自由度が高いため、作業者によって記入の方法が異なったり、元のフォーマットが改変されたりなど、在庫管理の詳細な作業が担当者に依存しやすくなります。
また、エクセルでマクロやピボットテーブルを組むなど、少し難易度の高い機能を導入した場合に、マクロやピボットテーブルを変更したい時にはスキルを持った特定の従業員しか行えません。
このため、紙やエクセルを使った在庫管理方法は、属人化しがちです。
一方、在庫管理システムを活用する場合、フォーマットや入力できる項目や文字の種類などが決まっており、誰が入力しても大きな差は出にくく、集計なども自動で行われます。このため、属人化の解消につながります。
ECサイト運営に適した在庫管理システムの機能
一般的な在庫管理にはもちろんのこと、ECサイトの在庫管理に必要な機能を見ていきましょう。在庫管理システムであれば、これらの機能がまとまっていることがほとんどです。
在庫照会
在庫の種類、場所、数などを調べたい時にすぐ表示される照会機能は在庫管理に無くてはならない機能です。
時間差なくリアルタイムで表示されるのであればなお良しです。
在庫移動
倉庫内でどこに在庫を保管するのかというロケーション管理も大切な機能です。
同じ倉庫内でも保管場所がしっかり紐づいていればすぐに移動することが可能ですし、複数の倉庫がある、あるいは倉庫以外でも在庫を保管しているといった場合に見つけやすいです。
在庫調整
販売品以外にもサンプルや展示品、自家消費などに使用される在庫もあります。これらをマニュアル管理するのは非常に大変です。
在庫調整機能があればすぐに記録できます。
セット商品
仕入れた在庫は単品で販売する商品ばかりではないでしょう。セット販売もありますし、複数を組み合わせて販売するケースもあるはずです。
このような在庫の組み合わせが可能な機能があると便利です。
入出荷
在庫管理機能の中で最も便利なのがバーコードリーダーです。
専用のハンディターミナル機器以外にスマホで取り込むことができるシステムも増えています。
入出荷の記録はバーコードの読み取りで完了します。
棚卸
多くの現場で頭を悩まされるのが棚卸ではないでしょうか。
マニュアルの場合、人も時間も多く必要とする作業ですし、せっかくカウントしても人為的なミスが出やすいため非効率です。
在庫管理システムに棚卸機能がついていると瞬時に計算されるため、効率がグンとアップします。
倉庫管理システムとの連携
近年は小規模ビジネスでも外部の物流センターを利用するケースが増えています。
このような場合でも連携機能があれば一括して管理することができるため、まるで自社の倉庫のように活用が可能です。
おすすめの在庫管理システムをご紹介。主要製品の特徴と料金プラン
このように、ECサイト用の在庫管理システムといっても含まれる機能や価格はかなり異なります。ニーズに合わせてよく検討することをおすすめします。
ここではECサイト用在庫管理として人気の高いシステムをご紹介します。
システム名 | 主な特徴 | 連携機能 |
---|---|---|
キャムマックス | ECサイトと実店舗の両方の在庫管理が可能で、倉庫管理・ERP機能が充実 | 倉庫管理システムやECモール、会計システムととスムーズに連携可能 |
ネクストエンジン | 注文管理システム(OMS)と在庫管理の連携が可能。専用アプリでカスタマイズ可 | 外部システムや倉庫管理システムとの連携が容易(CSVや専用アプリ使用) |
TEMPOSTAR | ASP型でカスタマイズ性が高く、最新のECモール仕様に対応 | ECモールの最新仕様に常時対応し、外部システムとの連携も可能 |
クロスモール | クラウドASPでEC業務を一括管理。強固なセキュリティ対策が特徴 | 複数のECモールと連携可能。倉庫管理システムとも統合可能 |
ロジクラ | 店舗や倉庫など複数の拠点間の在庫情報を一元化。スマホでバーコード読み取りも対応 | 他システムとの連携可能で、物流管理にも対応 |
ネクストエンジン
実際にECサイトを運営している会社が自社業務の効率化を図るために作った受注管理システム(OMS)で、専用アプリを追加することでカスタマイズが可能なことも特徴の一つです。
外部システムとの連携 | CSV、専用アプリで連携可能 |
---|---|
倉庫・WMSとの連携 | 標準連携以外は専用アプリ、CSVを利用して連携可能 |
費用 | 初期費用なし 基本料金 月額3,000円(受注件数200件まで) 200件以上の場合は件数に応じた従量課金追加 年間保守費用 15,000円 使用していればオプションのアプリ料金 |
TEMPOSTAR
ASPでありながら個別にカスタマイズ可能なシステム。メール送信のタイミングや自動化もニーズに応じて調整が可能です。連携先のECモールの最新仕様に常時対応。
外部システムとの連携 | 連携可能 |
---|---|
倉庫・WMSとの連携 | 連携可能 |
費用 | 初期費用なし 月額11,000円~+従量課金 年間保守費用 15,000円 使用していればオプションの連携サービス料金 |
クロスモール
ECサイト運営に必要な業務をまとめてかんりできるクラウドASPソフト。連携モール仕様変更への対応、強固なセキュリティ対策が特徴です。
外部システムとの連携 | 連携可能 |
---|---|
倉庫・WMSとの連携 | 連携可能 |
費用 | 初期費用なし スーパーライトプラン 5,000円Xサイト数(注文数500件、商品数1,000点まで) プラン1000 9,000円Xサイト数(商品数1,000点まで) プラン3000 14,000円Xサイト数(商品数3,000点まで) プラン5000 18,000円Xサイト数(商品数5,000点まで) プラン15000 23,000円Xサイト数(商品数15,000点まで) |
ロジクラ
Shopifyなどの主要なOMS(注文管理システム)とも連携可能で、カートやECモールともデータ統合ができます。外部システムとのスムーズな連携により、データ管理が自動化され、誤出荷や在庫切れのリスクを最小限に抑えます。
外部システムとの連携 | 連携可能 |
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倉庫・WMSとの連携 | 連携可能 |
費用 | 初期費用なし Lite 月額12,800円+301件から25円/出荷1件 Premium 月額40,000円+2,001件から10円/出荷1件 無料プラン以外は年間保守・活用支援サポート費用30,000円 |
倉庫管理システムとの連携について
ECサイトに欠かせない在庫管理システムですが、成功している企業は倉庫管理もシステムを導入していることがほとんどです。
そこで、先ほどの在庫管理システムと連携させるのにおすすめの倉庫管理システムも合わせてご紹介します。
ロジザードZERO
クラウドWMSの中でもシェアが高いのは、業歴20年の間に蓄積されたノウハウが詰まったシステムだからといえます。ECサイトだけでなく実店舗の物流にも対応しています。
利用料金については個別に相談が必要です。
イーロジット
システムに加えて通販業務の代行サービスを提供しています。受注やカスタマーサポートなどのほか、プロのカメラマンによる商品撮影も代行してくれるため、ECサイトの売り上げアップが期待できます。
料金は個別に見積もりが必要です。
クラウドトーマス
スマホアプリとリングスキャナを使用してハンズフリーを実現しています。また、現場に合わせて端末を選択することも可能です。さらにSIMカードで運用できるため、Wi-Fi構築が不要なのも大きな特徴です。
月額基本利用料は、5アカウントまで90,000円、追加アカウント料(1アカウント) 5,000円、追加ショップ・荷主料25,000円です。
クラウドERP『キャムマックス』はECサイトと実店舗の両方の在庫管理ができます
このようにECサイトの運営には在庫・倉庫管理が不可欠となっていて、既存のシステムとの連携やアップデートなどを考えると、余計に選ぶのが難しくなります。
その点、キャムマックスであれば在庫・倉庫管理システムとの連携はもちろんのこと、ECモール、OMSなどとスムーズに連携することができます。
『キャムマックス』は、有形商材を扱う企業様向けに欠かせない機能を揃えたクラウド型のERPです。
キャムマックスのようにECサイトと実店舗の両方の在庫管理ができるシステムを導入することで、同じ商品については全社で統合的に適正在庫を保ちやすくなりますし、両方の在庫を一元管理できることで、業務効率化も叶います。
FAQ(よくある質問)
Q1. 在庫管理システムはなぜ必要なのですか?
A:ECサイトの運営において、効率的に商品を提供するために在庫管理はとても重要です。規模が大きくなれば、受注や出荷の件数はもちろん、取り扱うアイテムも増えるため在庫管理が煩雑になってしまいます。
そこでシステムを導入することで、リアルタイムに在庫数を把握できるため、過剰在庫をおさえたり管理コストを削減することができます。
Q2. 在庫管理システムにはどのような機能がありますか?
A:在庫管理システムには、在庫照会・在庫移動・入出荷管理・棚卸機能・セット商品の管理機能などがあります。さまざまな機能により在庫情報の把握が迅速かつ正確に行えるようになり、業務の効率化が図れます。
Q3. 紙やExcelによる在庫管理とシステムによる管理の違いは何ですか?
A:紙やExcelでの管理はコストがかかりませんが、手作業によるミスや属人化が起こりやすいです。一方でシステムによる在庫管理は初期費用や月額費用がかかるものの、在庫情報を自動集計することで一貫した方法で管理できるため、効率性と正確性が向上します。
Q4. ECサイトの在庫管理システムと倉庫管理システムはどのように連携できますか?
A:在庫管理システムは、倉庫管理システムとの連携が可能な製品もあります。連携させることで在庫情報がリアルタイムで一元管理され、複数の倉庫や保管場所の在庫も即時に確認できます。これによりスムーズな物流と在庫補充が実現します。
Q5. 倉庫管理システムも導入した方が良いのでしょうか?
A:物流の効率化や在庫の最適化を図るためには、倉庫管理システムの導入を推奨します。自社内で全ての商品を管理しているのであれば必要ないですが、複数ある倉庫から直接配送するなどの仕組みをとっている場合は導入をご検討ください。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。